日本の大学生が経験する就職活動はどんなもの?
日本人が会社に勤めるにあたり、必ずと言っていいほど経験するのが就職活動、通称「就活(shu-ka-tsu)」です。
会社に雇われるプロセスは人それぞれかもしれませんが、日本の学生の大半は、この「就活」と呼ばれるアクティビティを通じて雇用されるため、独特の慣習や日本のルールを、この活動を通じて学ぶことがほとんどです。
日本の就職活動の流れ
日本の就職活動の本番は4年生の春から夏。
就活は一般的に、大学の最終学年となる年の3月〜8月にかけて、一斉に行われます。
この約半年の間に企業は来年度に入社を希望する学生を募集し、筆記試験や面接を経て「内定」、つまり正式に雇用することを約束します。
一般的に企業は、新卒者を採用する場合、毎年この時期にまとめて行うことが定例化しています。
学生は一度に複数の会社へ応募することが出来るだけでなく、企業側も意欲のある人材を探しやすいとされているためです。
1~3年生からリクルートに励む企業・学生も
ただ、最近ではこの一斉採用の形式も、質の高い人材発見につながらないとする声も強くなってきていきます。
そこで中小企業を中心に大企業でも増えているのが通年採用、あるいはインターンや自社イベントを通じて有望な学生をリクルートするという方法です。
就活のような定型的なものではなく、実践的なアクティビティを通じて学生のポテンシャルを測定することができることもあり、優秀な学生は4年生になる前に内定をもらっているということも珍しくありません。
そのため企業の中でも学生の中でも、このような柔軟な手法が良しとされる傾向も強まってきています。
就職活動における慣習や問題点
今の形式の就職活動が定着してから数十年が経過したため、微妙に形は変えつつも、日本独自のユニークな慣習や特徴も見られます。
服装について
一般的な就職活動の場において、最も重要視されることの1つが見た目です。
清潔感や常識的な装いが求められるというのはどこの国でも同じかもしれませんが、日本において重要視されるのはリクルートスーツです。
これはいわゆる黒っぽいスーツのことを指しているのですが、特にこの点について指摘する企業は少ないものの、暗黙の了解としてこのような服装を半ば強制的に指定する文化風土が定着しています。
80年代から90年代の日本では、フォーマルであれば文字通りある程度自由な装いが認められてはいたものの、ここ数年の不景気を経て、近年では黒髪、黒スーツの姿が定着するに至りました。
ただ、昨今では世界中で見た目の多様性を受け入れようという声が強まっていることもあり、少しずつ黒スーツを事実上指定する文化も変わりつつあります。
ベンチャー企業やIT関係の企業を中心に、カジュアルな服装での面接の奨励などを行なっているケースも見られます。
就活を題材にした作品
人生を決める試練として、そして学生最後の年の思い出としてドラマティックな経験につながることもある就職活動ですが、これをテーマにしたフィクション作品も日本では有名です。
『シューカツ!』(著)石田衣良
就職先としては最難関とされるマスコミを希望する大学生が、一致団結してマスコミ業界内定を目指すという小説です。
何かと社会問題としても取り沙汰される就職活動ですが、学生時代の辛く・楽しい経験として、思い出に残る経験にもなるという側面を描いた物語でもあります。
『何者』(著)朝井リョウ
就活を取り巻くリアルな大学生の姿を描いた作品として話題になったのが、この『何者』です。
中々内定がもらえない人、社会に馴染めなさそうなのにあっさりと内定をもらう人、自分の生き方に悩み続ける人など、大学生のリアルな心の動きを捉えた小説として人気を博し、映画化もされました。
まとめ
日本の就職活動は、細かいだけでなく明文化されていないルールや慣習もあるため、一度そこに参加して見なければわからないものもあります。
ただ同時に、日本の若者の登竜門として立ちふさがることで、それが作品の題材となる程、学生にドラマティックな体験をさせるイベントになっているケースもあるのです。